知らないと損する!犬の健康を守る日常ケアの基本8選|初心者にもできる習慣づくり

犬のケアが必要な理由とは?

犬と暮らすうえで欠かせないのが、日々のこまやかなケアです。けれども、見た目の清潔さや可愛らしさだけに注目しがちで、実際には「なぜケアが必要なのか」という本質的な部分を深く考えたことがない方も少なくないのではないでしょうか。

私自身、犬と暮らし始めた当初は、「とりあえずシャンプーしていれば清潔だろう」と思っていました。しかし、暮らしの中で感じたのは、“きれいにすること”と“健康を守ること”は、同じではないということです。

犬は、人間のように自分で歯を磨いたり、皮膚の状態を気にしたりはできません。その代わりに、飼い主が手をかけることで、ようやく整うのが犬の生活環境なのです。ブラッシングを通じて抜け毛を取り除き、皮膚の異常に気づくこと。耳掃除で炎症を未然に防ぐこと。歯磨きで口臭や病気のリスクを減らすこと。どれも見えないところで確実に犬の心身を支えています。

また、日常のケアは単なる作業ではありません。犬との信頼関係を育てる“時間”でもあると私は思っています。手を当て、声をかけ、丁寧に触れる。そうしたひとつひとつの動作を通じて、犬は「大切にされている」と感じてくれます。

ケアをしないからといって、すぐに病気になるわけではありません。けれど、気づかないうちに少しずつダメージが蓄積されていく。そうなる前に、毎日の小さな手間を「当たり前」にしていくことが、飼い主としての責任ではないでしょうか。

この章では導入として、ケアの必要性とその背景をお伝えしました。次章からは、具体的なケア方法について、実体験を交えながら詳しく掘り下げていきます。

毎日のブラッシングが必要なワケ

犬のブラッシングと聞くと、「毛がきれいになる」「抜け毛対策になる」くらいに思われがちですが、私が実際に犬と暮らしてきた中で感じたのは、それ以上に**“体と心のメンテナンス”に近い行為だ**ということです。

犬の被毛は、見た目以上にその内側の皮膚環境と密接につながっています。毛玉ができたり、汚れが蓄積したりすると、その下の皮膚はすぐに蒸れ、かゆみや赤みの原因になります。ブラッシングは、そうした見えにくいトラブルの“前兆”を見つける作業でもあります。

私が以前飼っていた柴犬は、もともと皮膚が強い子でしたが、ある日いつものようにブラシをかけていると、耳の後ろにぽつんと小さなできものがあるのに気づいたんです。病院で診てもらった結果、初期の皮膚炎。処置が早かったおかげで、悪化することなく治りました。
あのとき、ブラッシングを「ただのルーチン」で済ませていたら気づけなかったかもしれません。

また、ブラッシングは犬の緊張や不安をやわらげる効果もあると私は実感しています。最初はブラシを見せただけで逃げていたうちの子も、何日かかけて「やさしく撫でる」ような時間に変えていった結果、今では喜んで近づいてくるようになりました。毛の手入れというより、むしろ“信頼の確認作業”に近い感覚です。

とはいえ、やみくもにブラシをかければいいというものでもありません。**毛質に合わないブラシはかえってストレスになりますし、力を入れすぎると痛みや拒否反応につながります。**私が大切にしているのは、犬の表情や仕草をよく見ながら、会話するような気持ちでブラッシングすることです。

忙しい日もあります。でも、1日たった5分、テレビを見ながらでもできるその時間が、**犬にとっては「大切にされている証拠」になる。**私はそう信じています。

ブラッシングとは、毛を整える以上の意味がある。それは、愛犬の小さなSOSに耳を傾ける時間であり、私たちにしかできない“観察”というケアなのです。

歯磨きは必須!口腔ケアの重要性

「犬に歯磨きなんて本当に必要なの?」
初めて犬と暮らし始めた頃、私もそう思っていました。ところがある日、愛犬が口を開けてあくびをしたとき、ふと気づいたんです。奥歯が黒ずんでいて、しかも口臭が強い。それをきっかけに、口の中のケアを真剣に考えるようになりました。

犬の口の中は、見えにくいからこそ、放置されやすい場所です。ところがそこには、病気の種がたくさん潜んでいます。歯垢が溜まり、それが石のように固まって歯石になってしまうと、簡単には取れません。そしてその歯石が原因で、歯ぐきが炎症を起こし、最終的には歯が抜けるだけでなく、体全体に悪影響を及ぼすことすらあるのです。

私の周りでも、歯周病が原因で手術を受けたという話を耳にするようになりました。しかもそれが、たった数年で進行していたというから驚きです。
「もっと早くケアしていれば…」という声は、決して他人事ではありません。

私が心がけているのは、毎日1回、ほんの1分でもいいから口の中に触れる時間をつくることです。いきなり歯ブラシを使おうとすると、ほとんどの犬は嫌がります。なので、最初は指で触れるだけでも十分。口の中を「触られても怖くない」と感じさせることが、最初のステップだと思っています。

そのうち慣れてきたら、犬用のやわらかいブラシや、指サック型の歯磨きシートなどを使って、少しずつ奥まで磨けるようにします。私の実感としては、道具よりも“慣れ”と“根気”のほうがずっと大事です。

市販の歯磨きガムやおもちゃでカバーする方法もありますが、それはあくまでサポート。人間で言えば、ガムを噛むだけで虫歯が防げるか?というのと同じで、やはり基本は「手で磨くこと」に尽きると私は感じています。

愛犬の口の中に手を入れるという行為には、ちょっとした勇気もいります。でも、それを乗り越えたとき、犬との信頼関係は確実に深まると私は信じています。

口の中は見えにくい。でも見えないからこそ、飼い主にしか守れない。
それが、私が歯磨きを続ける理由です。

正しいシャンプーと頻度について

犬を洗う。たったそれだけのことに、こんなにも悩む日が来るとは思ってもいませんでした。
「どれくらいの頻度で洗えばいいの?」「人間用のシャンプーで代用できないの?」「嫌がるときは無理して洗っても大丈夫?」——そんな疑問を抱えたまま、私も最初は手探りで始めたものです。

でも、あるとき獣医さんに言われた一言が、私の意識を変えました。
**「清潔に保つためのシャンプーが、かえって肌を荒らしていることもあるんですよ」と。
つまり、
“洗えば安心”ではなく、“洗い方次第でトラブルにもなる”**のが犬のシャンプーなのです。

犬の皮膚は人間の約1/3程度の厚さしかなく、とてもデリケートです。さらに、皮脂の分泌量や毛の密度も犬種によって大きく異なります。私は一時期、週1でシャンプーしていた時期がありましたが、それが原因で愛犬の背中に乾燥によるフケが出てしまった経験があります。

そこから学んだのは、「頻度は“見た目の汚れ”より“皮膚の状態”に合わせるべき」ということ。一般的には月1~2回が目安と言われますが、皮膚が弱い子なら2ヶ月に1回でも十分な場合もありますし、アウトドアが好きで泥まみれになる子ならもう少し頻繁でもいいかもしれません。

そして、使うシャンプーも大切です。私が実際に使っているのは、犬専用の低刺激タイプで、無香料・無着色のもの。人間用や子ども用でも、犬には刺激が強すぎることがあります。香りがいいからと選ぶのではなく、成分表示を見るクセをつけることがポイントです。

また、洗い方も意外と落とし穴があります。泡立てずに原液を直接かけていた頃、愛犬がシャンプー後にやたらとかゆがったことがありました。**シャンプーは手でしっかり泡立ててから使う。すすぎは念入りに。**この2つを守るだけでも、肌トラブルはぐっと減ると感じています。

ドライヤーもまた一苦労です。音が怖くて逃げ回る愛犬をなだめながら、少しずつ乾かしていく時間は、忍耐と根気の連続。でも、その中でふとしたしぐさや表情に気づけることも多く、「この子、実は今日はちょっとだるそうかも?」なんて変化に気づけたこともありました。

シャンプーは清潔にするだけでなく、体調を見抜くチャンスでもある。
だからこそ、回数や見た目の正しさにこだわるのではなく、“犬にとって負担の少ないケア”を選ぶことが、飼い主の優しさなんだと私は思っています。

耳と目のケア、見落としていませんか?

耳や目のケアについて、あなたはどれくらい意識していますか?
正直な話、私自身も最初の頃は「見た目がきれいなら問題ないだろう」と、そこまで気にしていませんでした。けれど、ある日ふとした変化に気づいたのです。
いつもと同じように触れた耳の内側が、ほんのり赤く、やや湿っている。いつもよりニオイも強い。あわてて病院に連れて行ったところ、外耳炎との診断。そこから私は、耳や目のケアを“後回しにしてはいけない領域”だと痛感しました。

犬の耳はとても繊細です。特に垂れ耳の犬種は耳の中が蒸れやすく、通気性が悪いため汚れが溜まりやすい構造になっています。
しかし、それ以上に厄介なのは、症状が出るまで気づきにくいこと。耳をかく、頭を振る、ニオイがきつくなるなどの変化があるときには、すでに炎症が進んでいる場合もあります。

私は今、週に一度は耳の中をそっと覗くようにしています。汚れがあれば、犬用のイヤークリーナーをガーゼに染み込ませて、やさしく拭き取るだけ。**奥まで綿棒を入れることはしません。**無理に手を入れれば逆に耳を傷つけてしまう。それは以前、私自身が失敗から学んだ教訓でもあります。

そして目のケアも、忘れてはならないポイントです。特に目の周囲に毛がかかる犬種や、涙やけが出やすい子は、日々のちょっとした手入れが重要です。
私は朝の「おはよう」とともに、柔らかいコットンで目元をやさしく拭き取るのを日課にしています。においや目やにの量、色など、ほんの少しの変化にも気づけるようになります。

犬の目や耳は、“感覚の窓”であり、健康のバロメーターでもあります。だからこそ、ケアは掃除というよりも、“観察”の延長線にあるべきだと私は感じています。

少し大げさに思われるかもしれませんが、こうした小さな気づきの積み重ねが、「何か変だな」と感じた瞬間にすぐ動ける感覚を育ててくれます。そしてそれが、犬の健康を守る最大の武器になるのです。

爪切りと足裏ケアの正しいやり方

犬の爪切りって、正直なところ、避けて通りたくなるケアのひとつではないでしょうか?
実際、私も最初はかなり躊躇しました。もし切りすぎて血が出たら…?嫌がって暴れたらどうしよう?そう考えると、つい「今度でいいか」と後回しにしてしまう。でも、後回しにした結果、伸びすぎた爪でフローリングを滑ったり、歩き方に違和感が出たりした経験が、私にはあります。

犬の爪は、私たちが思っているよりも成長が早く、自然に削れるとは限りません。特に室内犬や運動量の少ない子は、定期的に切ってあげないと、歩行に支障が出るばかりか、爪が巻いて肉球に刺さることもあるんです。

私が学んだのは、「完璧に切ろう」と思わないことがコツだということ。
少しずつ、無理のない範囲で整える。最初は爪先を軽く削るだけでも十分です。深く切ると血管まで達してしまうことがあるため、慣れるまでは「控えめ」を心がけるくらいがちょうどいい。実際、私は最初の頃、爪切りに失敗して出血させてしまったことがあります。そのときの愛犬の驚いた表情は、今でも忘れられません。

さらに見落としがちなのが、足裏の毛のケアです。伸びたまま放置すると、床で滑りやすくなり、関節や腰に負担がかかります。小型犬やシニア犬では、転倒が骨折につながるリスクもあるため、こまめに確認することが重要です。

私は、週1回の“足裏チェック”を習慣にしています。肉球の間を軽く開いて、ハサミやペット用バリカンで毛を整える。最初は緊張しましたが、慣れてくると犬も気持ちよさそうにリラックスしてくれるようになりました。
ただ、このときも「じっとしてくれない」ことを前提に、手早く、でも慎重にというバランスが求められます。

ケアを通じて感じたのは、爪や足裏は“見えないけれど、使い続けている場所”だからこそ、気にかけてあげる必要があるということ。
犬にとって歩くことは、生きることそのもの。だからこそ、「足を守る」という発想で、日々のケアに取り組むべきだと、私は強く思います。

体調チェックで早期発見!健康観察のコツ

犬は話せません。だからこそ、「ちょっと変だな」と思える“違和感に気づけるかどうか”が、飼い主としての腕の見せどころだと私は思っています。

かつて私の愛犬が、いつもより散歩の歩みが遅く、呼んでも反応が鈍かったことがありました。その日は気温も高かったので「暑くてだるいだけかな」と楽観してしまったんです。
でも翌日には、明らかに元気がなく、食欲もない。結果的に、軽い熱中症でした。
そのとき私は、“違和感を感じた時点で動く”ことの大切さを、強く思い知りました。

犬の体調不良は、はっきりとした症状よりも「微妙な変化」として表れることがほとんどです。だからこそ、“いつもどおり”を知っている私たち飼い主が、変化に最も気づきやすい存在なのです。

日常の“違和感センサー”を磨くには?

特別な観察スキルが必要なわけではありません。
むしろ、**「なんとなくおかしい」**という直感こそ信じるべきです。

たとえば、

  • 朝ごはんを残したのが初めてだった
  • 排泄のタイミングが数時間ズレた
  • よく寝る子が、今日は妙に落ち着かない
  • 撫でたとき、いつもより体温が高く感じた

こうした「ほんの少しのズレ」を見逃さないことが、体調チェックの本質だと私は考えています。

それから、日記のように記録する習慣も大切です。
我が家では、LINEの“自分だけのグループ”に毎日簡単な観察メモを残しています。
「●月●日 うんち硬め」「夜、寝言が多め」「ごはん完食、でも食べるスピード遅め」など、ほんの一行でいい。それを続けると、異変に気づく精度が格段に上がります。

健康観察は“ケアのついで”にできる

体調チェックのために構える必要はありません。
私は、日々のスキンシップの中でさりげなく観察するようにしています。
ブラッシングしながら皮膚をチェックしたり、爪切りのついでに歩き方のクセを観察したり、「ケア=診断」くらいの感覚でいると、自然と目が慣れてくるのです。

体のことも、心のことも、誰よりも近くで見ているのは飼い主です。
その目が持つ力は、プロにだって負けない。
私たちが感じる「なんか変かも」は、**根拠がなくても立派な“サイン”**だと、私は声を大にして伝えたいのです。

プロに頼るタイミングと上手な使い分け

犬と暮らしていると、「どこまで自分でやって、どこからプロに任せるべきか」という判断に悩むことがあります。私も最初は、“なるべく自分で全部やりたい”という思いが強くて、爪切りも耳掃除も、時には肛門腺絞りまで、自宅でこなそうとしていました。

でもある日、爪切り中に深く切りすぎて出血させてしまったことがありました。愛犬は驚きと痛みでパニックになり、私も動揺してしまい、結果的にそれがトラウマになってしまったんです。それ以来、私は無理をせず、**「プロに頼る勇気を持つことも飼い主の責任のひとつ」**だと考えるようになりました。

どんなときにプロの手を借りるべきか?

  • 犬が極端に嫌がるケア(爪切り・耳掃除・肛門腺など)
  • 皮膚に炎症があるときのシャンプーやトリミング
  • 毛玉が絡まりすぎて自分では取れないとき
  • 体のどこかにしこりや傷がある場合のブラッシング

こういった場合は、自己判断での処置よりも、トリマーや獣医師といった専門家に相談する方が、犬にとってもストレスが少なく、安全です。

「頼る=手放す」ではない

私は、プロに任せることを“手抜き”と捉えていた時期がありました。
でも今では、**「頼る」ことは「信頼して分担すること」**だと思っています。

たとえば、月に1回のプロのシャンプーやトリミングは、日常のケアでは気づけなかった小さな異変に気づくチャンスにもなります。
プロの目線で見てもらうことで、「あ、ここの皮膚少し赤くなってますね」といった情報をもらえたり、普段自分では気づかないポイントを教えてくれたりする。まさに“セカンドオピニオン”のような役割を果たしてくれるのです。

そして何より大事なのは、自宅でできるケアとプロのケアのバランスを取ること。
すべてを任せきりにするのではなく、日常的な観察や基本的なケアは飼い主が担い、専門的な部分やリスクが高い処置はプロに委ねる。
この“役割分担”ができるようになると、犬にとってもストレスの少ない環境が整っていきます。


終わりに:すべては「守りたい」という気持ちから

ここまで、犬のケアについてさまざまな視点で書いてきましたが、根底にあるのはただひとつ、「この子の健康と幸せを守りたい」という想いです。
私は、日々の小さなケアの積み重ねが、犬の命を支えていると実感しています。たとえ完璧にできなくても、“気づこうとする姿勢”さえあれば、それが犬にとっては何よりの安心につながるのです。

犬と過ごす時間は、思っているよりずっと速く過ぎていきます。だからこそ、その1日1日を丁寧に、やさしく、見つめていきたい。
この記事が、あなたとあなたの愛犬の暮らしに、ほんの少しでもヒントや温もりを届けられたなら、これ以上の喜びはありません。