犬を迎える前に考えるべき5つのポイント
犬を家族に迎える前に、「どこで買うのが良いか?」と同じくらい大切なのが、「本当に犬を飼う準備ができているかどうか」を見極めることです。この章では、後悔しない犬選びをするために、事前に確認しておくべき5つのポイントを解説します。
1. ライフスタイルとの相性を見極める
犬種によって性格や活動量、しつけのしやすさは異なります。例えば、アクティブな家庭には運動量の多い犬種(ボーダーコリー、ラブラドールなど)が向いていますが、静かな生活を望む家庭には小型犬やシニア犬の方が適していることも。
「どの犬種が自分たちのライフスタイルに合うのか?」という視点は、犬との生活を長く快適に続けるうえで不可欠です。
2. 犬の一生にかかるコストを把握する
犬を飼うには、購入費用だけでなく、フード、医療費、しつけ、トリミング、ペット保険など多くの費用がかかります。
特に近年はペット医療の進化により、医療費も高額化しています。犬の平均寿命は15年前後。その間に必要なコストを見積もっておくことが、責任ある飼い主の第一歩です。
3. 家族全員の合意を取る
家族で暮らしている場合、犬を飼うという決断は全員の合意が必要です。散歩や世話の担当、アレルギーの有無、旅行時の対応など、日々の生活に影響が出るため、事前にしっかりと話し合いましょう。
4. 飼育環境の確認と整備
犬を迎えるには、安全で快適な生活空間の確保が求められます。
・室内で飼えるスペースがあるか
・吠え声が近隣に迷惑をかけないか
・脱走や誤飲を防ぐ対策がとれているか
これらを事前に確認することは、犬のストレス軽減やトラブル防止につながります。
5. 信頼できる購入先を探す準備を始める
この連載の中心テーマでもある「どこで犬を買うべきか?」は、事前準備を進めておくことで選択肢の幅が広がります。ペットショップ、ブリーダー、保護犬施設など、入手先によってメリット・デメリットは大きく異なります。次章から、それぞれの特徴と注意点を詳しく解説していきます。
ペットショップで犬を購入するメリットと注意点

犬を購入する際、最も多くの人が検討するのがペットショップです。全国各地にあり、気軽に立ち寄って実際の子犬を見ることができる点が魅力ですが、ペットショップならではの特徴やリスクも存在します。この章では、ペットショップでの購入がどのような選択肢なのかを客観的に解説します。
ペットショップで犬を買うメリット
1. すぐに子犬と対面できる
ペットショップの最大の特徴は、店頭に並んでいる犬をその場で見ることができる点です。性格や反応を直接確認しながら選べるため、初めて犬を飼う人にとっては安心材料になります。
2. 多くの犬種から選べる
人気犬種や珍しい犬種まで幅広く取り扱っている店舗が多く、「理想の見た目や性格の犬を探したい」というニーズに応えやすいのも利点です。
3. 必要なグッズもその場で揃う
首輪やケージ、フードなどの飼育用品が一式揃っているため、「犬を迎えたその日から生活を始められる」体制が整っています。
ペットショップ購入の注意点
1. 衝動買いのリスクが高い
店頭でかわいい子犬を見て、その場の勢いで購入してしまうケースは少なくありません。しかし、事前準備やライフスタイルとの相性を確認せずに飼うと、後に手放すことになる可能性があります。
2. 出所や育成環境の不透明さ
すべてのペットショップがそうではありませんが、一部では「パピーミル(子犬工場)」と呼ばれる非人道的な繁殖業者から仕入れているケースもあります。購入する際には、犬の出生情報や親犬の健康状態をしっかり確認しましょう。
3. 社会化不足の可能性
ショップで長時間ケージに入れられ、人との関わりが限られる環境で育った犬は、社会化不足により問題行動を起こしやすい場合があります。購入後には十分なトレーニングが必要となることを念頭に置いておきましょう。
ペットショップを選ぶ際のチェックポイント
・犬の血統証明やワクチン記録が提示されているか
・獣医師の健康診断を定期的に受けているか
・清潔でストレスの少ない飼育環境が整っているか
・店員の知識や対応が信頼できるか
以上のように、ペットショップでの犬の購入は利便性が高い一方で、慎重な見極めが求められます。
信頼できるブリーダーから犬を迎える方法と注意点

犬を購入する方法の一つとして、ブリーダーから直接迎えるという選択肢があります。特定の犬種に特化して繁殖を行うブリーダーは、犬の健康や血統、性格などにこだわりを持って育成していることが多く、理想の犬との出会いを実現しやすい方法です。ただし、適切なブリーダーを見極めるためには、飼い主側の知識も重要です。
ブリーダーから犬を迎えるメリット
1. 犬の血統や性格を詳しく知ることができる
優良なブリーダーは、親犬の性格や健康状態、繁殖歴などを把握しており、将来的にどのような性格の犬に育つかを予測する参考になります。特定犬種の飼育が初めての方にとっても、専門的なアドバイスを得られるのは大きなメリットです。
2. 健康状態が管理されていることが多い
ブリーダーは、犬の健康に強い関心を持ち、適切なワクチン接種、遺伝病の予防、衛生管理を徹底しているケースが多いです。信頼できるブリーダーからの購入は、健康な犬を迎える確率が高まります。
3. 社会化が進んでいることが多い
子犬の時期からブリーダーが人と関わる時間を確保している場合、基本的な社会化が進んでいることがあります。これは、後のしつけのしやすさや、無駄吠え・噛み癖などの問題行動の予防にもつながります。
ブリーダー選びの注意点
1. 悪質なブリーダーの存在に注意
すべてのブリーダーが良質とは限りません。利益優先で無理な繁殖を繰り返す業者も存在します。衛生管理が行き届いていない、繁殖頻度が異常に高いなどの特徴が見られる場合は要注意です。
2. 子犬に直接会えないこともある
ブリーダーが遠方にいる場合や、対面販売が限定されている場合、写真や動画でしか犬を確認できないケースがあります。可能な限り現地を訪問し、犬舎の環境や親犬の様子を確認することが望ましいです。
3. 時間と手間がかかる
信頼できるブリーダーを見つけ、実際にやり取りをし、子犬の成長に合わせて引き取りのタイミングを調整するなど、ペットショップに比べて時間と労力が必要です。
優良ブリーダーの見極め方
・日本犬保存会やJKC(ジャパンケネルクラブ)に登録されている
・見学を快く受け入れてくれる
・親犬や兄弟犬と会わせてくれる
・繁殖回数や健康状態、遺伝病検査の結果を明示している
・購入後のアフターフォロー体制がある
ブリーダーからの購入は、犬の将来を見据えたうえでの確かな選択です。適切なリサーチを行い、信頼関係を築けるブリーダーと出会うことが成功の鍵となります。
保護犬を迎えるという選択肢とそのメリット・課題

近年、動物福祉の観点から注目されているのが「保護犬を迎える」という選択肢です。保護団体や動物愛護センターには、新しい家族を探している多くの犬たちがいます。ペットショップやブリーダーとは異なるこの方法には、独自のメリットと課題が存在します。
保護犬を迎えるメリット
1. 命を救うという社会的意義
保護犬を迎えることは、殺処分の危機に瀕した命を救う行為です。家族として迎えることで、1匹の犬に幸せな余生を与えるだけでなく、動物福祉の向上にも貢献できます。
2. 成犬を迎えやすく、性格がわかりやすい
保護犬は成犬であることが多く、ある程度の性格が確立しています。子犬とは異なり、「大きくなって性格が予想外だった」といったリスクが低いため、自分のライフスタイルに合う犬を選びやすいのも特徴です。
3. しつけがある程度できている場合もある
保護犬の中には、元の飼い主からの引き取りで基本的なしつけが済んでいる犬もいます。トイレのしつけや散歩の習慣が身についているケースでは、初心者にも扱いやすい可能性があります。
保護犬を迎える際の課題と注意点
1. トラウマや問題行動を抱えている場合がある
保護犬の中には、虐待や放棄、野犬出身などの過去を持つ犬も多くいます。そのため、人間への恐怖心や攻撃性、分離不安などの行動上の課題が見られることも。専門的な知識や継続的なケアが必要になるケースがあります。
2. 希望の犬種・年齢を選べないことがある
保護犬は、基本的に「今保護されている犬の中から選ぶ」ことになるため、人気犬種や子犬を希望しても必ずしも出会えるとは限りません。ある程度の柔軟性が求められます。
3. 譲渡までに面談や審査が必要
信頼できる保護団体は、犬の幸せを第一に考えているため、譲渡前に面談や自宅訪問、トライアル期間の設定などが行われます。ペットショップのように「すぐに連れて帰る」ことはできない点も理解が必要です。
保護犬を迎えるまでの流れ
- 保護団体や動物愛護センターのサイトで情報を確認
- 気になる犬がいれば、譲渡希望の申し込み
- 面談・飼育環境の確認
- トライアル飼育(数日〜数週間)
- 正式譲渡手続き
信頼できる保護団体を見つけるには
・譲渡条件が明確に示されている
・犬の健康情報・性格が詳細に記載されている
・面談・トライアル制度を導入している
・譲渡後のサポートがある
保護犬を迎えることは、「飼いたい」だけでなく「支えたい」「寄り添いたい」という気持ちが重要です。命と真摯に向き合える人にとって、最も意味のある選択肢の一つとなるでしょう。
オンラインサイトやマッチングサービスで犬を迎える方法とその安全性

近年、犬の入手手段として急増しているのが、インターネットを活用した「ペットのマッチングサイト」や「オンライン購入サイト」です。多様な選択肢から効率よく理想の犬を探せる一方で、トラブルや詐欺のリスクもあるため、利用には慎重な判断が求められます。
オンラインで犬を探す主な方法
1. ペット販売ポータルサイト
大手のペットポータルサイトでは、全国のブリーダーやペットショップが登録しており、犬種、地域、性別、価格などの条件で絞り込み検索が可能です。気に入った犬がいれば、そのまま購入や見学の申し込みができます。
2. ブリーダー直販のマッチングサービス
特定の犬種を扱う専門ブリーダーと、飼い主を直接結びつけるオンラインサービスも増えています。中間業者を介さないため、犬の情報が正確で、やり取りがスムーズになることが特徴です。
3. SNSや個人取引
Twitter、Instagram、ジモティーなどのSNS・掲示板を通じて、個人間で犬の譲渡・販売が行われているケースもあります。ただし、信頼性や契約内容の不透明さには十分な注意が必要です。
オンライン購入のメリット
1. 自宅にいながら幅広く探せる
全国の情報を比較しながら、自宅にいながらにして希望に合う犬を見つけることができます。仕事や育児で忙しく、実店舗に行く時間がない人にも便利です。
2. 希望犬種に出会いやすい
ペットショップでは扱いの少ない珍しい犬種や、小規模なブリーダーが繁殖している犬種など、ニッチなニーズにも対応しやすいのが特徴です。
3. 価格帯や飼育環境を比較できる
複数の販売者やブリーダー情報を比較できるため、価格の妥当性や飼育環境の透明性を確かめながら選ぶことができます。
オンライン購入の注意点とリスク
1. 実際の犬と情報が違う可能性
写真や説明文と実物が異なる「イメージ詐欺」が起こりがちです。性格や健康状態が説明と食い違う場合もあるため、できるだけ見学や対面確認を行いましょう。
2. 偽サイト・詐欺業者に注意
「限定価格」「希少種」「即日配送」などの魅力的な文句をうたう詐欺サイトも存在します。事業者情報、動物取扱業の登録番号、口コミや評判を必ず確認してください。
3. アフターケアが不十分な場合がある
販売後のしつけ相談や健康保証、返金対応など、サポート体制が整っていない業者も少なくありません。信頼できるかどうかを見極めるには、口コミやレビューの確認が有効です。
安全にオンラインで犬を迎えるためのチェックリスト
・動物取扱業の登録があるか
・犬の健康状態が詳しく記載されているか
・見学や相談に対応してくれるか
・契約書や譲渡条件が明記されているか
・支払い方法が安全で明確か
オンラインサービスは便利な反面、情報と実態にギャップが生まれやすいため、信頼できるサービスを選ぶ目を養うことが不可欠です。
目的別に最適な購入方法を選ぶ!ドッグトレーナー視点での総合アドバイス

ここまで、犬を迎える主な方法として「ペットショップ」「ブリーダー」「保護犬」「オンラインサービス」の4つのルートを詳しく見てきました。それぞれにメリット・デメリットがあるため、「どこで買うのが正解か?」は飼い主の目的や環境によって異なります。この章では、目的別に最適な選択肢を整理し、ドッグトレーナー視点での総合的なアドバイスをお届けします。
【目的別】最適な犬の迎え方とは?
◆ 初めて犬を飼う場合
おすすめ:信頼できるペットショップまたは社会化されたブリーダーの犬
初めて犬を飼う方にとっては、性格が穏やかで健康状態が明確な子犬を選ぶことが大切です。店頭で犬と直接ふれ合えるペットショップや、手厚いサポートをしてくれるブリーダーが安心です。
◆ 特定の犬種に強いこだわりがある場合
おすすめ:専門ブリーダーまたはマッチングサービス
犬種特有の性格や特性に対応できる知識が必要なため、その犬種に精通したブリーダーが最適です。信頼できるマッチングサイトを活用すれば、理想の子と出会いやすくなります。
◆ 社会貢献や保護活動に関心がある場合
おすすめ:保護犬の譲渡
「犬を助けたい」「命に向き合いたい」という想いがある方には、保護犬の譲渡がおすすめです。多少の手間や不安があっても、経験と支援を通じて絆が深まるケースが多く、非常にやりがいのある選択肢です。
◆ 忙しくて現地に見学に行けない場合
おすすめ:実績あるオンライン購入サービス
時間が限られている方は、オンラインで購入情報を集め、ビデオ通話や配送サポートを行っている事業者を選ぶとよいでしょう。信頼性の高い業者かどうかを見極める目が求められます。
ドッグトレーナー視点の最終アドバイス
◆ 「どこで買うか」よりも「どう育てるか」が大事
どこから犬を迎えるかも重要ですが、それ以上に大切なのは、迎えた後の接し方と育て方です。犬は一生を通じて人と関わるパートナーです。基本的なしつけや社会化、適切な運動、食事、健康管理を継続できるかが、その子の幸福を左右します。
◆ 迎えた後のトレーニング環境を整える
犬を迎える際には、信頼できるトレーナーや動物病院とのつながりを作ることが重要です。特に初めての方は、オンライン講座や出張トレーニングの利用も検討してみましょう。早期の社会化と行動管理が、将来の問題行動を予防します。
◆ 「出会い方」よりも「向き合い方」で愛犬との未来が決まる
完璧な購入方法はありませんが、「この子を一生守る覚悟があるか?」という問いに真摯に向き合うことが、最も信頼できる飼い主への第一歩です。
まとめ:犬を迎えるベストな方法は、あなたの目的と責任に応じて変わる。大切なのは、犬との暮らしに真剣に向き合う心です。