子どもと大型犬が共に暮らすための基本知識
子育て家庭で大型犬を迎える前に知っておくべきこと
「大型犬」と聞くと、力が強くてしつけが大変そう、子どもと一緒に暮らすには危険では?というイメージを持つ方も多いかもしれません。しかし、適切な犬種選びと正しいしつけを行えば、大型犬は子どもの良きパートナーになり得ます。
特に、性格が穏やかで人懐っこい犬種を選べば、子どもとの相性も良く、情緒面での発達にも好影響を与えることができます。子どもと犬との信頼関係は、家庭内での豊かな時間をつくりだします。
大型犬の特徴とライフスタイルの適応
大型犬の魅力は、包容力のある性格と、飼い主に対する忠誠心の強さです。一方で、活動量が多く、適切な運動や空間の確保が必要になります。家庭内に大型犬を迎える際には、以下のポイントを事前にチェックしましょう。
- 運動スペースの確保:毎日の散歩や遊び時間が必要です。
- しつけの徹底:基本的なしつけを小さいうちから行うことで安全性が高まります。
- 家族全員の協力:特に子どもにも、犬への接し方を教えることが大切です。
子どもと犬との信頼関係の育て方
子どもと犬が共に暮らすには、犬側のしつけだけでなく、子ども側にも動物との接し方を学ばせる必要があります。以下のようなルールを共有することで、トラブルを避け、信頼関係を築きやすくなります。
- 食事中や寝ているときには犬に触れない
- 無理に抱きついたり、引っ張ったりしない
- 犬が嫌がっているサインを理解する
このような基本的な知識をもとに犬と子どもが安心して過ごせる環境をつくることが、家庭における大型犬との共生の第一歩です。
子どもと相性の良い大型犬の特徴とは?

性格重視の犬種選びがカギ
大型犬の中でも、子どもと一緒に安全かつ楽しく暮らせる犬種には共通した特徴があります。最も重要なのは温厚で忍耐強い性格を持っているかどうかです。子どもは時に犬にとって予測不可能な動きをするため、多少のいたずらにも動じない穏やかな気質の犬が理想です。
また、社会性が高く人とのコミュニケーションを楽しむ犬種は、家族との関わりを深めるのにも向いています。警戒心が強すぎる犬種は子どもとの関係が難しくなる場合もあるため、家庭環境に応じた選定が必要です。
子どもとの暮らしに適した大型犬のチェックポイント
以下は、ドッグトレーナーとして推奨する、子どもとの暮らしに向いている大型犬の特徴です。
- 温厚でフレンドリーな性格
攻撃性が低く、初対面の人にも親しみやすいタイプが望ましいです。 - 高すぎない興奮性
落ち着きのある性格の犬は、子どもが騒いでいても過剰に反応しないため安全です。 - 指示への反応性が良い
基本的なしつけやコマンドに従いやすい犬は、子どもと暮らす家庭でも扱いやすくなります。 - 適度な体力と穏やかなエネルギーレベル
活発すぎず、家庭内でも落ち着いて過ごせる犬種は共生しやすいです。
避けたほうがよい犬種の傾向
逆に、以下のような特徴を持つ犬種は、子育て世代には慎重な検討が必要です。
- 狩猟本能が強く小動物や子どもの動きに敏感に反応する犬
- 飼い主に対する独占欲が強く、家族間の関係に介入しやすい犬
- 他人や子どもに対する警戒心が強く、吠え癖がある犬
こうした特徴を理解した上で、次章からは具体的に「子どもと一緒に暮らしやすい大型犬ランキングTOP5」を紹介していきます。
第5位 ラブラドール・レトリバー 〜万能な家庭犬の代表格〜

ラブラドール・レトリバーの基本情報
ラブラドール・レトリバーは、世界中で人気の高い大型犬種であり、子どもと暮らす家庭にも最適な性格を持っています。もともと猟犬として訓練されていたため、指示への反応が早く、しつけのしやすさが抜群です。
平均体重は25〜36kgほどで、体は大きいものの、性格は非常に温和で協調性があります。日本の家庭環境にも馴染みやすく、初心者にも扱いやすい犬種です。
子どもと暮らす上でのメリット
- 忍耐力があり、子どものいたずらにも寛容
ラブラドールは多少のストレスにも動じない穏やかな気質で、子どもが急に近づいても落ち着いて対応できます。 - 高い知能と学習能力
コマンドやルールをすぐに覚えるため、家族全員で一貫したしつけを行えば、家庭内でのトラブルも最小限に抑えられます。 - 社交性が高く人懐っこい
子どもだけでなく、他の家族や来客にもフレンドリーに接することができ、家庭に明るい雰囲気をもたらしてくれます。
注意点と対策
ただし、エネルギー量が多いため、毎日の十分な散歩や運動が不可欠です。運動不足が続くと、ストレスによる問題行動が出ることもあります。また、食欲旺盛で太りやすいため、体重管理と食事の量のコントロールも重要です。
家庭内での生活ルールを早期に教えることにより、安心して子どもと同居させることが可能です。特に、ケージトレーニングや「待て」「おすわり」などの基本コマンドは、家庭内の安全性を高める要素となります。
第4位 ゴールデン・レトリバー 〜優しさと落ち着きの両立〜

ゴールデン・レトリバーの基本情報
ゴールデン・レトリバーは、「理想的なファミリードッグ」として長年親しまれてきた大型犬の代表格です。平均体重は27〜34kgほどで、がっしりした体格ながらも優雅な動きが特徴。性格は温厚で落ち着きがあり、家庭向きの大型犬種として非常に人気があります。
もともと水鳥の回収作業を担っていた作業犬であるため、集中力と忠誠心も高く、しつけが入りやすい犬種です。
子どもとの生活に向いている理由
- 高い忍耐力と包容力
子どもが多少雑な触り方をしても怒ることなく受け止める寛容さがあり、小さな子どもがいる家庭でも安心です。 - おだやかで安定した性格
落ち着きのある気質を持っており、家庭内で騒がしい状況でも慌てずに過ごせるのが大きな魅力です。 - 訓練性能が高く、柔軟な対応ができる
しつけを楽しみながら覚える傾向があり、家族の中でのルールをきちんと守ることができます。
注意点と育てるコツ
ゴールデン・レトリバーは、被毛の手入れが欠かせない犬種です。抜け毛が多く、定期的なブラッシングが必要となります。特に子どもがアレルギー体質の場合は、室内環境の管理も重要なポイントです。
また、ゴールデンも運動が好きな犬種ですので、散歩や遊びの時間をしっかり確保することで、ストレスをためずに健康な状態を保てます。
精神的な安定感があり、子どもの成長と共に寄り添ってくれる存在として、非常に頼れる犬種といえるでしょう。
第3位 バーニーズ・マウンテン・ドッグ 〜優雅で愛情深い大型犬〜

バーニーズ・マウンテン・ドッグの基本情報
スイス原産のバーニーズ・マウンテン・ドッグは、牧畜や荷車の牽引などに使われてきた力強い作業犬です。見た目は堂々としており、体重は35〜50kgと大型ですが、非常に温和で家族思いの性格を持っています。
三色の美しい被毛と落ち着いた表情が特徴で、家庭に落ち着きと安心感をもたらす存在として、子育て世帯でも注目されています。
子どもと暮らす家庭に向いている理由
- 非常におだやかで愛情深い性格
子どもに対しても優しく接することができ、過剰に興奮することが少ないため、安心して同居させられます。 - 家族との絆を大切にする
飼い主への忠誠心が強く、家族と一緒に過ごすことを好むため、子どもとの関係性も自然に築けます。 - 落ち着いた行動が多く、騒がしすぎない
他の大型犬に比べて落ち着きがあり、静かに過ごすことが多いので、家庭内でも扱いやすい犬種です。
注意点と飼育のポイント
バーニーズは暑さに弱いため、夏場の温度管理には特に注意が必要です。室内でのエアコン管理や散歩時間の工夫が求められます。また、大型犬ゆえに関節への負担がかかりやすく、床の滑り止め対策や体重管理も重要になります。
被毛も長く、週に数回のブラッシングで抜け毛と皮膚トラブルの予防が必要です。時間と手間をかけられる家庭であれば、その見返りとして大きな安心と信頼を提供してくれる犬種といえるでしょう。
第2位 ニューファンドランド 〜まるで“動くぬいぐるみ”のような心優しき巨犬〜

ニューファンドランドの基本情報
ニューファンドランドはカナダ原産の大型犬で、救助犬としても活躍してきた歴史を持つ頼もしい犬種です。体重は50〜70kgに達することもあり、その堂々たる体格に驚く方も多いでしょう。しかし、その外見とは裏腹に非常に温和で愛情深い性格をしています。
泳ぎが得意で、水難救助の現場で人命を救うこともあるほど、勇敢かつ冷静な特性を持ち合わせています。
子どもと暮らす上での大きなメリット
- 抜群の包容力と落ち着き
子どもが騒いでいても全く動じない落ち着いた性格で、まるで大家族の一員のように子どもを見守ってくれます。 - 攻撃性が非常に低い
他の犬や人に対しても敵意を見せることがほとんどなく、家庭内での安心感が際立ちます。 - 忍耐強く、世話好きな一面も
子どもの行動にも寛容で、優しく接する傾向があり、精神的にも支えとなる存在です。
注意点と飼育時のポイント
ニューファンドランドは超大型犬に分類されるため、住環境において十分なスペースが求められます。狭い室内よりは、ある程度広さのある住まいでの飼育が理想です。
また、よだれが多いことでも知られており、家庭内ではタオルやよだれ対策のグッズを常備する必要があります。被毛は厚く水を弾くため、夏場の暑さには弱く、涼しい場所での飼育管理が不可欠です。
とはいえ、ニューファンドランドの持つ穏やかな存在感と優しさは、子どもとの生活において非常に大きな安心材料となるでしょう。
第1位 グレート・ピレニーズ 〜家族を守る優しい巨人〜

グレート・ピレニーズの基本情報
グレート・ピレニーズは、フランスとスペインの国境にあるピレネー山脈原産の牧羊犬で、古くから家畜を外敵から守る護衛犬として活躍してきました。体重は45〜60kgを超えることもあり、真っ白で美しい被毛と、威厳ある姿が印象的な犬種です。
この犬種は、穏やかで慎重、そして家族を守るという使命感の強さが特徴で、子どものいる家庭では非常に頼りになる存在となります。
グレート・ピレニーズが第1位に選ばれる理由
- 非常に穏やかで防衛本能が強い
攻撃性は低いものの、家族を守る本能が強く、子どもを「守る対象」として認識し、静かに寄り添います。 - 冷静沈着で感情が安定している
大きな音や急な動きにもあまり動揺せず、予測不能な行動をする小さな子どもとも落ち着いて接することができます。 - 過度にベタベタせず、ほどよい距離感を保つ性格
必要以上に興奮することがなく、家庭内でも静かに過ごすことが多いため、安心して子どもと同居できます。
飼育の際の注意点とコツ
グレート・ピレニーズは独立心が強く、やや頑固な一面もあるため、子犬のうちからの一貫したしつけが重要です。また、被毛が非常に厚いため、定期的なブラッシングと暑さ対策が欠かせません。
さらに、見知らぬ人に対しては警戒心を見せることもあるため、早期の社会化トレーニングが必要です。信頼関係を築けば非常に忠実なパートナーとなり、子どもにとっては頼れる守護者のような存在になるでしょう。
グレート・ピレニーズは、静けさと安心感を家庭にもたらす、「守りの優しさ」を兼ね備えた最高の大型犬として、第1位にふさわしい犬種といえます。
大型犬と子どもが安心して暮らすための実践ポイント

1. 子どもと犬の双方にルールを設ける
大型犬との暮らしを安全で快適にするためには、人間側だけでなく犬側にも明確なルールを設定することが不可欠です。特に子どもには、犬の嫌がる行動や危険な接し方を理解させる必要があります。例えば:
- 犬の食事中や睡眠中に触らない
- 尻尾や耳を引っ張らない
- 大声を出して驚かせない
こうした基本的なルールを子どもに教えることで、犬との信頼関係を早期に構築できます。
2. しつけと社会化を計画的に進める
大型犬は体格が大きいため、しつけの有無が安全性に直結します。以下のようなトレーニングは必須です:
- 「おすわり」「まて」「ふせ」などの基本コマンド
- 他人や他の犬への適応力を高める社会化トレーニング
- 子どもとの接し方を学ばせる練習
子犬の頃から始めることで、家庭内のルールに早く馴染みやすくなります。
3. 日常生活の中で運動と健康管理を意識
大型犬は運動不足によるストレスや肥満に注意が必要です。1日に1〜2回の散歩に加えて、遊びの時間も取り入れましょう。特に以下のポイントを押さえてください:
- 年齢と体力に応じた運動量の調整
- 定期的な健康診断と体重チェック
- 被毛や皮膚の手入れをこまめに行う
こうした管理を日々続けることで、犬の健康を維持し、子どもとのふれあいも安全かつ楽しいものになります。
4. 飼い主としての覚悟と責任を持つ
大型犬との生活には、時間・費用・労力が必要です。特に子どもと共に暮らす場合は、命と向き合う責任感が問われます。一時的な流行や見た目の可愛さで飼い始めるのではなく、「家族として迎える」という明確な意志を持つことが重要です。
まとめ:大型犬は子どもの最高のパートナーになれる
本記事で紹介した通り、ラブラドール・レトリバーやグレート・ピレニーズをはじめとする大型犬は、しっかりと選定・管理をすれば、子どもにとって最高の友達・守り手・教育パートナーとなります。
愛情・しつけ・理解という3つの要素を大切にしながら、家族全員で大型犬との暮らしを楽しんでください。正しい知識と準備があれば、大型犬との生活は子どもの心を豊かに育み、家族の絆を深めるかけがえのない時間となるはずです。