パグの基本情報|原産国・歴史・サイズなどの基礎知識
パグは、日本国内でも人気の高い小型犬の一種で、その愛らしい外見と人懐っこい性格で多くの飼い主に愛されています。本章では、パグの原産地や歴史、身体的特徴など、パグに関する基本的な情報を網羅的に解説します。これからパグを飼おうと検討している方はもちろん、すでに飼っている方にも役立つ情報をお届けします。
パグの原産国と歴史的背景
パグの起源は古代中国にさかのぼります。紀元前400年頃にはすでに存在していたとされ、当時は王族や貴族など限られた階層の人々によって飼育されていました。特に中国の皇帝たちに愛されたことで知られ、「皇帝犬」としての地位を築きました。
その後、16世紀にオランダの貿易商人によってヨーロッパに渡り、特にイギリスで人気が高まりました。ヴィクトリア女王もパグを愛していたとされ、イギリス王室にも浸透しました。このように、パグは歴史的にも非常に由緒ある犬種です。
パグのサイズと体格の特徴
パグは小型犬に分類され、成犬の平均的な体高は25cm前後、体重は6〜8kg程度です。がっしりとした体型と、筋肉質な胴体が特徴で、見た目以上に丈夫な犬種でもあります。短い足と丸い顔、そしてしわが寄った独特の表情が、多くの人を惹きつける魅力のひとつです。
パグの顔立ちと被毛の特徴
パグの最も印象的な部分は「顔」にあります。大きな黒い目、潰れたような鼻(短頭種)、深いしわ、そして愛嬌のある表情は他の犬種にはないユニークな特徴です。被毛は短く、滑らかで光沢があり、一般的な毛色としては**フォーン(淡いベージュ)とブラック(黒)**の2種類が代表的です。
パグの寿命と健康傾向
平均寿命は12〜15年とされており、小型犬としては標準的です。ただし、短頭種特有の呼吸器系のトラブルや、皮膚疾患、眼病、肥満に注意が必要です。健康を保つためには、日々のケアや定期的な健康診断が欠かせません。
パグの性格|人懐っこさとマイペースさの魅力

パグはその見た目だけでなく、性格面でも多くの魅力を持つ犬種です。人との関わりを好み、穏やかで親しみやすい性格が特徴的です。本章では、パグの性格的特徴を詳しく解説し、飼い主との相性や日常生活での関わり方についても紹介します。
愛情深く人懐っこい性格
パグは非常に社交的で人懐っこい性格をしています。飼い主やその家族に深い愛情を示し、常に人と一緒にいたがる傾向があります。そのため「抱っこ好き」や「ストーカー気質」とも言われることがあります。小さなお子様のいる家庭でも比較的安心して飼うことができる犬種です。
マイペースでおおらかな一面
パグはマイペースで落ち着いた性格も持ち合わせています。激しく吠えたり、攻撃的な行動をとることは少なく、トラブルの起きにくい性格といえるでしょう。室内でも静かに過ごすことができるため、集合住宅やマンションでも飼いやすいとされています。
感受性が高く、繊細な部分もある
一方で、パグは感受性が高く繊細な性格でもあります。大きな音や急な環境の変化には敏感に反応することがあります。また、飼い主の声色や態度にも鋭く反応し、褒められると非常に喜びます。しつけや接し方においては、怒鳴るのではなく、褒めて伸ばす方法が効果的です。
他のペットや犬との相性
パグは基本的に他の犬やペットに対しても友好的です。攻撃的ではないため、多頭飼いにも比較的向いています。ただし、やや頑固な一面もあるため、相性や性格をよく見極めながら時間をかけて慣らしていくことが大切です。
パグの飼いやすさ|初心者にも向いている理由とは?

パグはその性格や体格から、犬を飼うのが初めてという方にも人気の犬種です。しかし、どの犬にも向き・不向きはあるため、事前に「飼いやすさ」について理解しておくことが重要です。本章では、パグがなぜ飼いやすいとされているのか、また飼育時の注意点について詳しく解説します。
鳴き声が少なく、室内でも飼いやすい
パグは無駄吠えが少ないことで知られています。何かに驚いたときや要求があるときに鳴くことはありますが、日常的にうるさく吠えることはほとんどありません。この特性は、集合住宅やマンションで飼いたい人にとって大きなメリットとなります。
運動量が少なく、過度な散歩は不要
パグは活発すぎず、1日2回の短時間の散歩で十分な運動量を確保できます。激しい運動を必要としないため、体力に自信がない方や高齢者にも向いています。ただし、運動不足になると肥満になりやすい傾向があるため、適度な運動と食事管理が必要です。
しつけがしやすいが、少し頑固な一面も
パグは基本的に人の指示をよく聞く素直な性格ですが、時に頑固で気ままな一面を見せることもあります。そのため、しつけにはある程度の根気が求められます。ただし、褒められるのが好きなため、ポジティブなアプローチを心がければ良好な関係が築けます。
お手入れが比較的簡単
パグの被毛は短く、ブラッシングの頻度は週に1〜2回程度で済みます。シャンプーも月1回程度が目安で、被毛の手入れは初心者でも比較的簡単です。ただし、顔のしわ部分は汚れやすく、こまめに拭いて清潔を保つ必要があります。
飼いやすいが「完全に手がかからない」わけではない
パグは総じて飼いやすい犬種ですが、呼吸器系の問題や体温調節の苦手さなど、特有の健康リスクも存在します。真夏の散歩やエアコンの管理など、環境への配慮が不可欠です。
パグの健康管理|気をつけたい病気と予防法

パグは丈夫な体を持ちながらも、特有の体質や構造からくる病気にかかりやすい一面があります。飼い主としては、日頃の健康管理を通じて、病気の予防や早期発見に努めることが大切です。本章では、パグがかかりやすい病気や注意点、予防法について解説します。
パグがかかりやすい主な病気
1. 呼吸器系のトラブル(短頭種気道症候群)
パグは「短頭種」に分類され、鼻腔や喉の構造が狭くなっているため、呼吸が苦しくなる症状が出やすい傾向にあります。特に暑い時期や運動後に「ガーガー」というような音を立てることが多く、重症化すると外科的治療が必要になることもあります。
2. 皮膚病(しわの間の炎症やかゆみ)
パグの顔のしわは愛らしさの象徴である一方で、汚れがたまりやすく皮膚トラブルの原因になることもあります。湿気や皮脂の蓄積により、赤みやかゆみ、においが発生しやすく、マラセチア皮膚炎やアトピーなどを引き起こす場合があります。
3. 眼病(角膜潰瘍、乾性角結膜炎など)
パグの目は大きく、突出しているため外傷や乾燥に弱いのが特徴です。角膜が傷ついたり、涙の分泌量が減ることにより、目をしょぼしょぼさせたり、目ヤニが増えることがあります。定期的な目のチェックと早めの受診が重要です。
4. 肥満とそれに伴う疾患
食欲旺盛で運動量が少なめなパグは、太りやすい犬種です。肥満は心臓病、関節の負担、糖尿病など、さまざまな疾患を引き起こす原因になります。体重管理と適切なフード選びが健康維持のカギとなります。
健康を維持するための習慣
- 定期的な健康診断(年1回以上)
- 室温・湿度の管理(特に夏場は熱中症に要注意)
- 散歩や遊びによる適度な運動
- しわや耳の清掃を日常的に行う
- バランスの取れた食事管理
パグの寿命を延ばすためにできること
健康寿命を延ばすためには、日々の観察とケアが最も重要です。食欲、排泄、呼吸、歩き方など、些細な変化にも気づけるようにしましょう。特にシニア期に入ったら、より細やかなケアと動物病院との連携が求められます。
パグのしつけ方|子犬期から成犬までのトレーニング法

パグは基本的に穏やかで協調性のある犬種ですが、やや頑固な面もあるため、しつけは一貫した姿勢と根気が必要です。この章では、子犬のうちから行うべき基本的なしつけや、成犬になってからの対応について詳しく紹介します。
パグのしつけの特徴
パグは人間が大好きで甘えん坊な性格を活かすことで、しつけが比較的スムーズに進みます。ただし、強く叱ると反発するか萎縮してしまう傾向があるため、ポジティブな声かけとご褒美を使った「陽性強化」が有効です。
基本のしつけ①:トイレトレーニング
パグのトイレトレーニングは、子犬期から始めるのが理想的です。以下のポイントを押さえることで成功率が高まります。
- 排泄のタイミングを観察する(食後・起床後・遊びの後など)
- 決まった場所でさせる習慣をつける
- 成功したらすぐに褒めておやつを与える
- 失敗しても叱らず、静かに片づける
継続と一貫性がカギです。
基本のしつけ②:無駄吠え対策
パグは吠える頻度が少ない犬種ですが、要求吠えや来客時の興奮吠えが見られることがあります。これを防ぐためには、以下のような対策が有効です。
- 要求に応じず、落ち着いたときに対応する
- インターホン音に慣れさせるトレーニング
- 指示語(「静かに」など)を一貫して使用する
基本のしつけ③:噛み癖・いたずらへの対処
子犬期は歯の生え変わりによるかゆみや、興味から物を噛む行動が多く見られます。以下のような方法で対応しましょう。
- 噛んでよいおもちゃを与える
- 手や家具を噛んだ場合は毅然と「ダメ」と伝える
- 噛んで良いものを褒めて強化する
社会性を育てるための接し方
パグの穏やかな性格を保つには、早期の社会化が重要です。生後2〜4ヶ月頃にさまざまな人や犬と接触させることで、怖がりや攻撃的な性格になるのを防ぐことができます。
- 散歩時に他の犬と交流させる
- 家族以外の人に慣れさせる
- 音や環境の変化に慣れる訓練を行う
パグの食事管理|おすすめのフードと与え方のコツ

パグは食欲旺盛で食べることが大好きな犬種ですが、その反面、肥満になりやすく食事管理には細心の注意が必要です。本章では、パグに適したフードの選び方や食事の与え方、年齢ごとの注意点など、健康維持に欠かせない食事管理について詳しく解説します。
パグに合ったドッグフードの選び方
パグに最適なフードを選ぶ際には、以下のポイントを重視しましょう。
- 高タンパク・低脂肪のバランスが取れたフード
- 消化吸収に優れた原材料(鶏肉や魚ベースなど)
- 皮膚や被毛の健康を保つ成分(オメガ3脂肪酸、ビタミンEなど)
- 添加物・人工保存料が少ない製品
特に皮膚やアレルギーに弱い傾向があるため、グレインフリーやアレルゲンカット対応のフードを選ぶのも効果的です。
食事の与え方の基本ルール
1. 食事の回数
- 子犬期(〜生後6ヶ月):1日3〜4回に分けて
- 成犬期(6ヶ月〜7歳程度):1日2回が基本
- シニア期(7歳以降):消化器官の負担を減らすため、場合によっては1日3回に分けてもよい
2. 食事の量
体重や運動量に応じて調整することが重要です。パッケージ記載の給与量はあくまで目安であり、実際の体型や活動レベルに応じて柔軟に対応しましょう。
3. おやつの与え方
おやつはトレーニングやご褒美に役立ちますが、与えすぎると肥満の原因になります。1日の摂取カロリーの10%以内を目安にし、カロリー表示のある製品を選びましょう。
年齢に応じた食事管理のポイント
- 子犬期:成長に必要な栄養が詰まった「パピー用フード」を使用
- 成犬期:筋肉量と体型維持を意識した成犬用フードへ切り替え
- シニア期:腎臓や関節のケアができる高機能フードを検討
年齢や健康状態に応じてフードの見直しを行い、獣医師と相談しながら最適な食事環境を整えることが理想です。
パグとの暮らし方|快適な生活環境と日常ケアのポイント
パグは屋内飼育に非常に適した犬種ですが、特有の体質や性格に合わせた快適な住環境づくりや日常的なケアが必要不可欠です。本章では、パグとの生活をより快適にするための住まいの工夫や、お手入れ・コミュニケーションのポイントについて詳しく解説します。
パグに適した室内環境とは?
1. 温度・湿度管理を徹底する
パグは暑さに非常に弱い犬種です。特に夏場は熱中症のリスクが高まるため、エアコンで室温を25℃前後に保ち、湿度は50〜60%程度に管理するのが理想です。冬場は冷えすぎにも注意し、毛布やベッドで保温できる環境を整えましょう。
2. 滑りにくい床材の使用
関節への負担を減らすために、滑りにくいカーペットやマットの使用がおすすめです。フローリングは転倒や脱臼の原因になることがあるため、部分的な敷物でも対策を行いましょう。
3. 静かで落ち着けるスペースの確保
パグは家族と一緒に過ごすのが好きですが、静かに休める自分だけのスペースも必要です。ケージやベッドを設置し、安心できる居場所をつくってあげましょう。
パグの日常ケア
1. しわの掃除
パグの顔のしわは湿気や汚れがたまりやすく、皮膚病の原因になります。柔らかいコットンやガーゼで毎日軽く拭き取ることで、清潔を保つことができます。掃除の後は、乾燥させることがポイントです。
2. 目のケア
大きな目はホコリやごみが入りやすいため、毎日目ヤニや涙のチェックをしましょう。異常があればすぐに獣医師に相談することが重要です。
3. ブラッシングとシャンプー
短毛種ですが、抜け毛は意外と多い犬種です。週に2〜3回のブラッシングで毛の健康を保ち、皮膚の異常にも早く気づけます。シャンプーは月に1回程度が目安ですが、皮膚の状態に応じて調整が必要です。
毎日のふれあいと遊び時間
パグは甘えん坊な性格のため、日常的なスキンシップが非常に重要です。声をかけたり、軽くマッサージをしてあげたりすることで信頼関係が深まります。過度な運動は不要ですが、室内でのおもちゃ遊びや軽い散歩は心身の刺激になります。
パグを迎える前に知っておきたいこと|飼う前のチェックリスト

パグはその愛らしい見た目と穏やかな性格で多くの人を魅了しますが、どんな犬種にも特有の注意点があります。この章では、パグを家庭に迎える前に確認しておくべきポイントを**「チェックリスト形式」**で解説し、後悔しない犬との生活をスタートできるようサポートします。
1. パグの体質や健康傾向を理解しているか?
パグは短頭種特有の呼吸器系の問題や皮膚トラブルが起こりやすいため、日常的なケアや通院の必要性を理解しておくことが大切です。医療費が高くなるケースもあるため、ペット保険の検討も事前に行いましょう。
2. 室内飼育に対応できる環境か?
パグは屋外飼育には向いていません。暑さに弱く、気温・湿度の管理が必要なため、空調の効いた室内環境が必須です。日中も留守にしがちな家庭は、エアコンの自動運転など、事前の準備が求められます。
3. 毎日のスキンシップとケアの時間を確保できるか?
しわ掃除・目や耳のケア・ブラッシングなど、パグには日々のこまめなケアが必要です。さらに、飼い主とのスキンシップを強く求める性格のため、しっかり時間を確保できるか見直してみましょう。
4. 経済的な準備が整っているか?
パグの飼育には、初期費用(生体代、ワクチン、グッズ)に加えて、フード代、医療費、トリミング、しつけ教室など継続的な出費があります。予想される支出に対して、経済的な余裕があるかを事前に確認しましょう。
5. ライフスタイルに合っているか?
旅行や出張が多い人、在宅時間が少ない人は、パグとの暮らし方に制限が出る可能性があります。ペットホテルやペットシッターの利用も想定し、無理のないライフスタイルかを検討しましょう。
パグとの生活は「愛情」と「理解」から
パグは、愛されたい・甘えたいという気持ちを全身で表現してくれるパートナーです。その気持ちに応えるだけの責任と覚悟をもってお迎えすることが、幸せな共生への第一歩です。しっかりと準備を整えて、かけがえのない毎日を楽しみましょう。