イタリアングレーハウンドの基本情報
イタリアングレーハウンド(通称イタグレ)は、細身で優雅な体型と俊敏な動きが特徴の小型犬です。原産国はイタリアで、古代ローマ時代から貴族に愛されてきた歴史のある犬種です。現代でもその美しい姿と甘えん坊な性格が注目を集め、都市部を中心に人気が高まっています。
イタリアングレーハウンドの体型と外見の特徴
イタグレはその名の通り、グレーハウンドを小型化したような体型をしています。平均体高は32〜38cm、体重は3〜5kgほどで、スリムで筋肉質な身体が魅力です。皮膚は非常に薄く、短毛で艶のある被毛が全身を覆っています。毛色はフォーン、ブルー、ブラック、ホワイトなど多様で、単色が基本です。
小型犬ながらも高い運動能力を持つ
その見た目からは想像できないほど、イタグレは俊敏で運動能力が高い犬種です。特に走るスピードには定評があり、ドッグランなどでの活発な動きに驚かされる飼い主も多いでしょう。その一方で、家庭内では静かに過ごす時間も多く、オンオフの切り替えができる点も魅力です。
短毛で手入れがしやすい
イタリアングレーハウンドは被毛が非常に短いため、ブラッシングの頻度も週に1〜2回程度で十分です。抜け毛も少なく、室内飼いに向いています。ただし皮膚がデリケートなため、紫外線対策や寒さ対策は必須です。服を着せたり、日差しの強い日は散歩の時間帯を調整したりするなどの配慮が求められます。
日本での飼育事情と人気傾向
日本では特にマンション暮らしの家庭や、一人暮らしの方、共働き家庭での飼育が増えています。静かな性格とコンパクトな体格が、日本の住環境にも合っているからです。また、愛犬家の間で人気のSNS投稿でもイタグレの存在感は高く、情報が得やすい点も初心者にとって安心材料となっています。
イタリアングレーハウンドの性格と気質

イタリアングレーハウンドの性格は、一言で表すと「繊細で甘えん坊」。その優雅な見た目からクールな印象を受けるかもしれませんが、実際には人懐っこく、飼い主に深く愛情を注ぐタイプの犬種です。ここでは、イタグレの性格的特徴と飼育におけるポイントを詳しく解説します。
飼い主に強く依存する傾向がある
イタグレは非常に忠実で、家族のそばにいたがる傾向があります。飼い主が見えなくなると不安を感じやすく、分離不安を起こすこともあります。そのため、長時間の留守番には工夫が必要です。おもちゃやぬいぐるみを使ったり、留守中も落ち着ける環境づくりを心がけましょう。
繊細でナイーブな気質
この犬種はとても感受性が強く、大きな音や急な環境の変化に対して敏感に反応します。雷や掃除機の音、見慣れない人との接触などをストレスに感じやすい傾向があるため、安心できる生活環境の整備が欠かせません。無理なスキンシップや叱責は逆効果になることが多いので、愛情と信頼をベースにした接し方が重要です。
他の犬や子どもとの相性は慎重に
他の犬とは相性次第で仲良くなれるものの、突然近寄ってくる大型犬などは苦手な場合もあります。初対面では落ち着いた状況を作り、無理なく交流させることが大切です。また、子どもとの生活にも注意が必要で、特に小さな子どもが乱暴に触れると驚いたり逃げてしまうことがあります。子どもにも丁寧な接し方を教えると良いでしょう。
甘えん坊で愛されキャラ
イタグレは基本的に温厚で優しく、飼い主に対してはとことん甘えます。膝の上に乗ったり、ベッドで一緒に寝たがることもよくあります。スキンシップが好きな方にとっては、まさに理想的なパートナーとなるでしょう。この性格を活かして、しつけもスキンシップを取り入れながら行うと効果的です。
イタリアングレーハウンドのしつけと社会化のコツ

イタリアングレーハウンドは賢く学習能力の高い犬種ですが、繊細な性格のため、しつけには注意が必要です。ここでは、イタグレに適したしつけの方法や社会化の進め方について、具体的なノウハウを紹介します。
ポジティブな強化が効果的
イタグレは叱責に弱く、怒られることで萎縮してしまうことがあります。そのため、しつけは「褒める」を基本としたポジティブなアプローチが効果的です。トイレトレーニングやおすわり、待てといった基本動作を覚えさせる際は、できたときにしっかりと褒め、おやつを与えるなどしてポジティブな記憶と結びつけましょう。
一貫性を持ったルールづくり
しつけにおいて大切なのは、家庭内のルールを統一することです。例えば「ソファに乗るのはOK」「ベッドはNG」といったルールを定めたら、家族全員が一貫して対応する必要があります。曖昧なルールはイタグレを混乱させ、しつけの失敗につながります。
社会化期の経験がカギを握る
生後3〜12週間の「社会化期」にさまざまな刺激を経験させることは、成犬になったときの安定した性格形成に大きく影響します。この時期に他の犬、人、音、場所などに慣れさせることで、将来的な無駄吠えや攻撃行動を予防できます。ただし、無理に慣れさせようとすると逆効果なので、段階的に慣らしていくのがポイントです。
短時間の反復学習で集中力を活かす
イタグレは集中力が高い反面、長時間のトレーニングには向いていません。1回のしつけは5〜10分程度にとどめ、毎日短時間でも継続して行うことが効果的です。また、室内でのしつけに慣れたら、徐々に外でも練習を取り入れることで、より実践的なスキルが身につきます。
イタリアングレーハウンドの運動と遊びの重要性

イタリアングレーハウンドはコンパクトな体型ながら、走ることが大好きで運動量も意外と多い犬種です。健康維持だけでなく、ストレス発散や問題行動の予防のためにも、適切な運動と遊びを日常生活に取り入れることが重要です。
毎日の散歩は必須
イタグレには、毎日30分〜1時間程度の散歩が推奨されます。特に直線的に走れる環境があると、持ち前のスピードを発揮できて満足度も高まります。天候が良ければ朝夕2回に分けて散歩させるのが理想です。ただし、極端な寒さや暑さに弱いため、季節に応じて散歩の時間帯や服装を調整しましょう。
ドッグランでの自由運動も効果的
イタグレはオフリードで自由に走れる機会を喜びます。週に1〜2回はドッグランを利用して、全力で走れる時間を確保してあげましょう。運動不足はストレスや無駄吠え、いたずらなどの問題行動の原因にもなるため、意識的に運動時間を設けることが重要です。
家の中でもできる遊びを工夫
雨天や外出が難しい日は、室内でも遊べる工夫をしましょう。知育玩具やノーズワークマット、引っ張り遊びなどを活用することで、運動と頭の刺激を同時に与えることができます。また、飼い主と一緒に遊ぶことで信頼関係の構築にもつながります。
激しい運動は避けるべき時期もある
成長期の子犬やシニア期に入ったイタグレには、無理な運動は負担になります。特に成長期は骨が未発達のため、高い場所からのジャンプや急なダッシュは関節に悪影響を与える可能性があります。年齢や体調に合わせて、運動の内容や量を調整しましょう。
イタリアングレーハウンドの健康管理と注意すべき病気

イタリアングレーハウンドは一般的に健康で長生きする犬種ですが、特有の体質や遺伝的に注意が必要な病気もあります。健康を守るために、日頃からの観察と予防的ケアが欠かせません。
骨折や脱臼に注意
イタグレは細くて長い脚が特徴ですが、それゆえに骨折や脱臼などのケガが多い傾向があります。ソファやベッドからのジャンプ、フローリングでの滑りなど、日常生活の中に危険が潜んでいます。対策として、滑りにくいマットを敷いたり、高い場所へのアクセスを制限する工夫が必要です。
寒さへの弱さは命に関わることも
皮下脂肪が少なく、短毛のイタグレは非常に寒がりです。冬季には室温管理を徹底し、外出時には防寒ウェアを着用させることが重要です。寒さによる体調不良は食欲不振や震え、風邪の原因にもなるため、寒冷地では特に注意が必要です。
歯のトラブルにも注意
小型犬全般に言えることですが、イタグレも歯周病や歯石のリスクが高い犬種です。食事の後はなるべく毎日歯磨きを行い、デンタルケア製品を併用することで予防につながります。放置しておくと口臭や歯の痛みだけでなく、内臓疾患に発展することもあるため、早めの対策が大切です。
定期的な健康診断で早期発見を
見た目に異常がなくても、年に1〜2回は動物病院での健康診断を受けることをおすすめします。特に中高齢になったら、血液検査やエコー検査などの精密検査を取り入れておくと安心です。体重の急な変動や食欲の低下など、些細な変化も見逃さず観察しましょう。
避妊・去勢手術のメリットと検討時期
繁殖の予定がない場合、避妊・去勢手術を行うことで性ホルモン由来の病気(乳腺腫瘍、前立腺肥大など)を予防できます。手術のタイミングは獣医師と相談のうえ、生後6〜12ヶ月あたりを目安に決めるとよいでしょう。術後は体重管理が重要になるため、食事と運動のバランスにも注意が必要です。
イタリアングレーハウンドの食事と栄養管理

イタリアングレーハウンドの健康を維持するうえで、日々の食事と栄養管理は非常に重要です。体が細くて脂肪が少ないイタグレは、体調を崩しやすいため、適切なフード選びと食生活の工夫が求められます。
小型犬に適した高栄養フードを選ぶ
イタグレには、小型犬向けに設計された高タンパク・高脂肪のフードが適しています。筋肉量を維持するためには良質な動物性タンパク質が欠かせません。また、エネルギー代謝が活発なため、カロリー密度の高いフードを少量でもしっかり摂取できるようにするのがポイントです。
子犬・成犬・シニアで異なる食事管理
ライフステージによって必要な栄養素は異なります。子犬期には骨格の成長をサポートするカルシウムやタンパク質が豊富な食事を、成犬期には運動量に応じたカロリー調整を、シニア期には腎臓への負担を減らす低リン・低ナトリウムの食事が推奨されます。年齢に合わせたフード選びが大切です。
食が細い子への対応方法
イタグレには食が細い個体も多く、なかなか食べてくれないと悩む飼い主もいます。食欲を刺激するためには、ウェットフードを混ぜたり、電子レンジでフードを少し温めて香りを立たせる方法が有効です。また、1回量を減らして1日3回程度に分ける「分食」もおすすめです。
人間の食べ物は基本NG
塩分や脂肪分の多い人間の食べ物は、イタグレの健康を損なう恐れがあります。特にネギ類、チョコレート、キシリトールなどは中毒を引き起こすため絶対に与えないようにしましょう。間食には犬用の無添加おやつや、獣医師監修の補助食品を選ぶと安心です。
体重と体型の管理も忘れずに
イタグレは痩せすぎても太りすぎても健康を損なう犬種です。理想体型を保つためには、日々の体重測定とボディチェックが欠かせません。肋骨が軽く触れる程度が適正とされており、急激な体重変化には注意が必要です。フードの量や運動とのバランスを定期的に見直しましょう。
イタリアングレーハウンドの被毛・スキンケアとお手入れ方法

イタリアングレーハウンドは短毛で手入れが比較的簡単な犬種ですが、その一方で皮膚がデリケートなため、日常的なケアが欠かせません。ここでは、イタグレの被毛・スキンケアと適切なお手入れ方法について解説します。
短毛だからといって油断できない皮膚のケア
イタグレは被毛が短く、皮膚が露出しやすい分、乾燥や紫外線の影響を受けやすい傾向があります。乾燥肌やかゆみ、赤みなどのトラブルが出やすいため、保湿ケアや紫外線対策が重要です。特に冬場は室内の乾燥にも注意し、加湿器を活用するなど環境整備を心がけましょう。
定期的なブラッシングで清潔を保つ
短毛種であっても、週に1~2回のブラッシングは必要です。ソフトタイプのラバーブラシなどで全身を優しく撫でるようにブラッシングすることで、抜け毛の除去や皮膚の血行促進にもつながります。ブラッシングはスキンシップの一環としても有効です。
シャンプーは月1回を目安に
皮脂の少ないイタグレは、頻繁なシャンプーがかえって皮膚トラブルを招くこともあります。月1回程度の頻度で、低刺激性・犬用のシャンプーを使用して洗うのが理想です。シャンプー後はしっかりと乾かし、湿気が皮膚に残らないように注意しましょう。
耳・爪・目元などのケアも忘れずに
イタグレは耳の通気性が良いため外耳炎のリスクは比較的低いものの、週に1回程度は耳の中をチェックし、汚れがあれば専用のクリーナーで清掃しましょう。また、爪は2〜3週間に1度のペースでカットし、床に爪が当たる音が聞こえる場合は伸びすぎのサインです。目やには柔らかいガーゼで優しく拭き取り、目の周囲を清潔に保つことも大切です。
洋服は実用性を重視して
イタグレは寒さに弱いため、洋服はおしゃれよりも防寒性・通気性・着心地を重視して選ぶべきです。伸縮性のある生地で、肌に刺激を与えないものを選びましょう。また、服を着せることに慣れていない個体には、少しずつ慣らすようにしてください。
イタリアングレーハウンドを飼う前に知っておきたいこと

イタリアングレーハウンドは魅力的な特徴を多く持つ犬種ですが、飼うにはそれなりの準備と理解が必要です。この章では、これからイタグレを迎えようとしている方に向けて、あらかじめ知っておきたいポイントを総まとめします。
飼育環境の整備は必須
まず重要なのは、イタグレが安心して過ごせる環境を整えることです。細くて繊細な骨格を守るため、床には滑り止めのマットやカーペットを敷きましょう。また、ジャンプや転落によるケガを防ぐため、高さのある家具にはステップを設置したり、立ち入りを制限する工夫が必要です。
維持費は意外と高めになることも
小型犬でありながらも、イタグレは寒さ対策の洋服や室内設備、ケガ防止の対策などにコストがかかりやすい犬種です。さらに、骨折などの治療費が高額になることもあり得るため、ペット保険への加入を検討することもおすすめです。フード、ワクチン、定期健診の費用も含め、年間の維持費を把握しておくと安心です。
留守番が長い家庭には不向きな場合も
イタグレは飼い主に対する愛着が非常に強いため、長時間の留守番にストレスを感じやすい傾向があります。日中家を空ける時間が長い場合は、家族全体でケアできる体制を整えるか、見守りカメラやペットシッターの活用を検討することが望ましいです。
子犬の迎え方と信頼できるブリーダー選び
イタグレを迎える際には、信頼できるブリーダーや適切な飼育環境で育てられた子犬を選ぶことが大切です。遺伝的な疾患の有無や、親犬の性格・健康状態、社会化が十分に行われているかなどを確認しましょう。見学時には、清潔な飼育環境やブリーダーの対応も重要な判断材料になります。
家族全員が犬を迎える覚悟を持つ
イタグレは可愛らしい見た目とは裏腹に、繊細で手のかかる面もある犬種です。一時的な感情で飼うのではなく、10年以上の長い付き合いをするパートナーとして、家族全員が責任と覚悟を持って迎えることが求められます。事前の情報収集と準備を怠らず、イタグレとの幸せな生活をスタートさせましょう。